自分を内側から見る byヤン

哲学の話ではありません。
胃カメラの話です。
胃カメラはもう両手に余るほど経験しています。
看護師 (にこやかに)「もう慣れておられますよね〜」
わたし (可愛い子ぶって)「ええ〜っ。だめですぅ〜」
麻酔の儀式が済んでベッドへ。
わたし 「モニター見ていいですか?」
看護師 「ええ、ええ。このくらいの角度でいいですか?」
わたし 「はい、よく見えます」
わたしはいつもモニターを凝視します。
自分を内側から見るチャンスです。
医者の性格も見えます。
ただし、医者が間違えたからといって手出しはできません。黙って凝視するだけ
です。
かつて半身麻酔でひざの手術をしたときもモニターを見ました。
その時の担当医は語りが上手く、ときには笑いも出て、2時間ほどがあっという
間に終わりました。
で、きのう。
医者 「はい、いちばん苦しいところは終わりましたよ」
わたし 「・・・・・・」
いつもそうなのです。カメラが入っていくいちばん細い所が苦しい。
そして、「一番苦しいところは終わりましたよ」の直後にいちばん苦しいところ
を通過するのです。これは医者のマニュアルにあるのだろうか。
手慣れた私は、この言葉を合図に思いきり鼻で息を吸います。鼻で息を吸うと食
道が開いて脱力出来るのです。これ、経験知ね。
うまく通過。
が、ほっとしたのもつかの間、なんだこれは!
まるでこぶとり爺さんのように大きなこぶが、通路をふさいでいるではありませ
んか。
ちょっとぽこぽこっとしてるけど、きれいな肌色のこぶ。きっと良いじいさんの
こぶでしょう。
とは、医者は言わなかった。黙って通りすぎた。
わたし 「ちょっとちょっと、なんかいうてよ」と、 声に出せないつらさ。
それからは緊張の連続。
次のこぶを求めて手に汗握るアドベンチャーワールド。
って、医者にすれば普通にカメラ操作しただけなんでしょうけどね。
わたしにはスリル満点の洞くつ探検。
わたし 「ちょっとちょっと、なんかいうてよ」 声に出せないつらさ。
寡黙な医者は怖い。
医者 「では戻ります」
わたし 「えっ、さっきのこぶは?」 声に出せない…
おお、また見えた、こぶ。
医者 「悪性のものかどうか検査するので、組織を取っていいですか?」
わたし ブンブンブン!思いきり首をたてにふりましたよ。 「痛っ!」
あ、これは首をふりすぎたので、カメラがのどをこすったのです。
黄色い細い針金のようなものが管に差し入れられて…
お、モニターでも見えました、見えました。
画面は拡大されているので、けっこう大きなキャッチャーのようなもんがこぶの
一部をはさむ。
おっと、失敗。
再チャレンジ。
おお、画面が真っ赤に!
管に注射器が差し込まれ、水が噴射されて血液が除かれていく。
水鉄砲やね。
医者 「では抜きます」
わたし 「・・・・・」
・・・・・・・・・
係の女性 「今日の検査結果は2〜3週間後に郵送します」
わたし 「あ、そんな先ですか?」
係の女性 「はい」
わたし 「うっ」
はい、はい。首を洗って待っております。
どうかよいじいさんのこぶでありますように。
あ、そうか、鬼を飲んだらええんや〜
  ヤン

2 thoughts on “自分を内側から見る byヤン

  1. ちょっと失敗っていややなあ。
    医者は失敗せんといて。
    私の友達でこんなことを言うた人がいました。
    「父が手術したんやけどな、切ったとこ(内蔵)と違うとこから出血してん。ためらい傷やと思うわ」
    私「えっ?」
    手術にためらい傷って・・・。
    そんなん、あり?

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